2009.10.17 Saturday

鴨川ホルモー

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    「鹿男あをによし」の作者、万城目学氏のデビュー作。
    不思議で、お馬鹿で、ちょっぴり切ないファンタジー。

    主人公の安倍は、食費節約のために出席した京大青竜会の新歓コンパで出会った早良京子に一目惚れ。彼女に会えるという理由だけでこのサークルに入会してしまう。しかし、そこは「ホルモー」という怪しい競技を競うサークルだった。

    「ホルモー」とは、京大青竜会、京産大玄武組、龍大フェニックス、立命館白虎隊の間で代々競われている(身長20cm程度の小さい)オニを使役して戦うという怪しい競技の名称。なぜ「ホルモー」と呼ばれるのか?後に主人公達はその理由を目の当たりにして戦慄することになる。

    京都が舞台で、主人公が学生ということもあってストーリーの雰囲気は森見作品に近い印象を受けた。読みながら京都の街を歩いてみたいという衝動に駆られる。

    女性の鼻の美しさに執着するちょっと危ない主人公と、その友人で後にちょんまげ(表紙にも出ている)になる高村を除いてはそんなに強いキャラクターは無いが、京大青竜会という存在自体にクセがある。厳かでありながらどこかが抜けているのだ。
    途中、吉田神社で裸踊りをする儀式があるのだが後書から察するにどうやらこれは万城目氏の実体験らしい(笑)

    ほのぼのなファンタジーがお好きな方は是非。

    評価:
    万城目 学
    産業編集センター
    ¥ 1,260
    (2006-04)

    2009.10.17 Saturday

    鹿男あをによし

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      JUGEMテーマ:読書

       「さあ神無月だ。出番だよ、先生」

      突然鹿に話しかけられ、男は"目"と呼ばれる神宝の"運び番"を命じられた。

      いわずもがな、今年の3月まで放映していたドラマ「鹿男あをによし」の原作である。

      おっさん声で人語を話す雌鹿に、"目"と呼ばれる人の存亡のかかった神宝。古代史と神話を巧みに織り交ぜて壮大なファンタジーの世界が今回は古都奈良を舞台に展開される。

      出だしは若干暗い感じ(大学の研究室でのけ者にされている)の話なのだが、全体的にはほのぼの系ファンタジーなので安心して読める。

      登場人物にはそれほどのクセは無く、強いて挙げればかりんとうが大好きな歴史教師の藤原くんと、文章からでもその活力が伝わってきそうなリチャードこと小冶田教頭くらいだろうか。

      作中で紹介される史話や神話は、後の展開の伏線になっていたりするのでしっかり覚えておこう。

      ちなにみドラマの方はこれを読み終わった後に最終話を見ただけなので内容にどれくらいの差があったのかは分からないが、とりあえず先に挙げた藤原くんがドラマでは女性でヒロイン役になっていた。

      評価:
      万城目 学
      幻冬舎
      ¥ 1,575
      (2007-04)

      2009.10.15 Thursday

      宵山万華鏡

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        JUGEMテーマ:読書

        本作は 「宵山姉妹」、「宵山金魚」、「宵山劇場」、「宵山回廊」、「宵山迷宮」、「宵山万華鏡」と主人公の異なる六つの物語が同じ宵山で展開される。

        「宵山金魚」と「宵山劇場」の二つは如何にも森見作品らしいほのぼのとしたお話。友人を騙すという壮大な計画の表舞台と裏舞台という構成になっている。「宵山劇場」の方は「夜は短し歩けよ乙女」とも繋がりがあるようだ。

        「宵山姉妹」、「宵山回廊」、「宵山迷宮」、「宵山万華鏡」の四つはどちらかというと「きつねのはなし」よりで若干シリアスなお話。少女を闇夜に誘う赤い浴衣の不思議な少女達、同じ宵山の一日から抜け出せない老人と青年・・・と少し背筋がゾッとする宵山が描かれています。

        透明感ある描写でいろいろな角度から映し出される宵山はまさに万華鏡。
        読めばきっとあなたも宵山に言ってみたくなるはず。

        評価:
        森見 登美彦
        集英社
        ¥ 1,365
        (2009-07-03)
        コメント:京都の祇園祭宵山を舞台に幾人ものストーリーが交錯する。シリアスあり笑いあり、万華鏡の如く姿を変える宵山で森見ファンタジー全開です!

        2008.04.05 Saturday

        ホルモー六景

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           前回紹介した「鴨川ホルモー」の続編。続編といっても、話の続きではなくホルモーに関わった人達のスピンオフである。

          テーマは「恋」だそうで、「鴨川ホルモー」と並行した話、その後の話、遠い昔の話など6話が綴られている。

          ボンちゃんの初デートや高村がちょんまげになった理由が明らかになる話などなど、心暖まる話からちょっとほろ苦い話まで、ホルモーに明け暮れた若者達の青春物語。

          個人的には前作を凌ぐ面白さだったと思う。もっとも、前作の伏線があってこその面白さなので併せて一本なのかな。

          というわけで、読む場合は「鴨川ホルモー」からお読み下さい。

          評価:
          万城目 学
          角川書店
          ¥ 1,365
          (2007-11)

          2007.07.21 Saturday

          きつねのはなし

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            きつねのはなし
            きつねのはなし
            森見 登美彦

            不思議な古道具屋、怪しい屋敷とその主人、謎のケモノ、そして龍。

            不気味とか、怪奇という表現が相応だろうか。読みながら背筋に冷たさを感じてしまいそうな怪しく不思議な物語。怖いもの見たさならぬ怖いもの読みたさに駆られて続きを続きをといつに無くすらすら読み終わってしまった。

            本作品は四篇の物語で構成されている。いつもの通り、これら四篇は横で繋がっているようだが「新釈 走れメロス」ほどに明確な繋がりではない。繋がりを臭わせるといった感じだろうか。

            それぞれの物語は前述している通り、怪しげで異様な雰囲気を醸しだし陽気さや恋愛などという要素は皆無。他の森見作品とはまったく別物だ。しかし、その怪しくも不思議な展開が読み手の心を掴んで放さない。

            個人的にこの手の作品は読んだことがなかったので非常に新鮮だった。

            また、最後の物語「水神」の中心となる「樋口家」が「夜は短し歩けよ乙女」と「四畳半神話大系」に登場した「樋口氏」と関わりがあるのかも気になるところ。

            これで既刊の森見作品は読破かな。

            オススメ度 星星星星
            2007.06.27 Wednesday

            四畳半神話大系

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              四畳半神話大系
              四畳半神話大系
              森見 登美彦

              森見氏の作品を紹介するのはこれで四作目。前にも述べた通り、小説を言うものを読まない性質だったので一人の作家の作品をこれだけ読むと言うのは初めてだ。

              物語は、「異性との健全な交際、学問への精進、肉体の鍛錬など、社会的有為の人材となるための布石の数々をことごとく外し、異性からの孤立、学問の放棄、肉体の衰弱化などの打たんでも良い布石を狙い澄まして打ちまくってきた」と言う主人公が語り部となり、大学のサークル選びを分岐点としたパラレルワールドが展開される。

              そうと知らずに読むと2章目の冒頭で読んだ覚えのある節が出てきたのにちょっと混乱する。

              相変わらずお馬鹿な話が真面目に語られ、主人公の妄想癖や大袈裟な表現、ちょっとファンタジックな出来事が絡むところは健在。嬉しい限りである。

              また、登場人物には「夜は短し歩けよ乙女」で登場した「羽貫さん」と「樋口氏」がメインで登場する。物語の舞台となる下鴨幽水荘と合わせて、他の作品とリンクするところも森見氏の作品の特徴だ。

              個人的には、蛾が苦手な後輩の女の子「明石さん」が毎回巨大な蛾を掴んでは「ぎょえええええ!」と漫画のような叫び声を上げて「むにゅっとしてました!むにゅっとしてました!」とうわ言のように繰り返すというシーンがお気に入り。

              オススメ度 星星星星
              2007.06.25 Monday

              太陽の塔

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                太陽の塔
                太陽の塔
                森見 登美彦

                「夜は短し歩けよ乙女」に魅入られて以来、森見登美彦氏の作品を読み漁っている。
                今回はそんな森見氏のデビュー作。

                日本ファンタジーノベル大賞受賞作品ということなのだが、ファンタジーが全面に押し出されているわけではないので帯を見て買うとちょっと違和感を感じるかもしれない。

                物語の大半は、主人公である「私」の妄想と日常で語られる。元恋人の「水尾さん」との思い出、女性と絶望的に縁の無い親友「飾磨」、「高藪」、「井戸」とのやり取りや主人公の妄想によって面白おかしく語られる彼らの人物像。

                前半から中盤に掛けてはそれ程大きな強弱は無く、淡々と流れていく印象だった。というか、ラスト以外に無いと言ってもいいくらいかもしれない。

                個人的には主人公の下宿での牡蠣鍋が良かった。学生時代に誰かの下宿で鍋をしながらくだらない話に花を咲かせた記憶がある人は結構いるんじゃなかろうか。「ああ、確かにやったよこんなの」と、とても懐かしい気持ちになる。

                また、ごく一部ではあるがファンタジックに描かれている部分の描写は非常に透明感がありグっと惹きこまれる感じがあった。

                物語全体としては軽快でない分物足りなさがあるかもしれないが、森見氏の作品に興味をもたれた方は氏の原点であるこの作品を是非一読を。

                オススメ度 星星星
                2007.06.20 Wednesday

                新釈 走れメロス 他四篇

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                  新釈 走れメロス 他四篇
                  新釈 走れメロス 他四篇
                  森見 登美彦

                  「夜は短し歩けよ乙女」に続いて、本日も森見登美彦氏の作品。

                  この作品には、中島敦の「山月記」、芥川龍之介の「藪の中」、太宰治の「走れメロス」、坂口安吾の「桜の森の満開の下」、森鴎外の「百物語」と日本文学を代表する短編小説を現代風にアレンジした五つの物語が入っている。

                  物語の舞台は京都。五つの物語が、ときにシリアスに、ときにコミカルに描かれている。

                  中でも、表題にもなっている「走れメロス」がオススメだ。
                  約束を守らなけば学園祭のフィナーレをピンクのブリーフ一丁で踊らされる親友を人質に残し、約束を破るため全力で逃げる主人公。

                  原作とはまったく逆の展開が息もつかさぬ勢いで駆け抜ける。
                  一言で評するならば、このばかばかしさが面白い!!

                  原作がすべて短編なので、原作を一度読んでから本作品を読むとより一層物語に入り込めると思う。

                  また、本作品に入っている五つの物語はすべて横に繋がっている。登場人物がそれぞれの物語に主役として登場したり、別の物語で脇役で登場したりする。いわゆるスピンオフというやつだろうか。
                  さらには「走れメロス」の舞台となる学園祭は、「夜は短し歩けよ乙女」の物語ともリンクしているようだ。

                  こういうところも物語を楽しめるひとつの要素。
                  是非一読を!

                  オススメ度 星星星星
                  2007.06.19 Tuesday

                  夜は短し歩けよ乙女

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                    夜は短し歩けよ乙女
                    夜は短し歩けよ乙女
                    森見 登美彦

                    基本的に小説は読まないのだが、平積みされていたのが目に入り、表紙の絵とタイトルに惹かれて買ってしまった一冊。

                    好奇心旺盛で天然な黒髪の乙女と、その乙女に思いを寄せ妄想全開な主人公のちょっと奇妙で心温まるラブストーリー。

                    黒髪の乙女の天然さと主人公の妄想っぷりが非常によいのだが、それに負けず劣らずサブキャラが濃いのが非常に良い。

                    「職業は天狗」と名乗る者、電車のような御殿を持つ翁、本を悪人から解放してまわる少年、神出鬼没の韋駄天こたつなどなど。

                    夜の木屋町で、夏の古本市で、秋の学園祭で、ひと癖もふた癖もある彼らによって引き起こされる出来事に巻き込まれる二人の恋の行く末や如何に?

                    衝動買いだった分、ちょっと得した気分になった。
                    オススメ!

                    オススメ度 星星星星星
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